津屋崎千軒・玄界灘の円坐

昨日は、気温が11度ほどで小雨降る岩手県・種山ヶ原で宮沢賢治が日夜歩いた山道や、
坐ったであろう魅力的な岩たちを辿りながら「ふるさと円坐街道」の時空の中を旅していました。

夜、仙台空港から飛行機で帰って今日は、
大阪千代崎の自宅で影舞山月記のクラスに備えています。

今や自分の地元である大阪に戻っても、心は常に「精神の旅先」にいるように感じます。

「精神の旅先」という言葉は、円坐や未二観で言う「言葉の最後の先まで辿る」や、
影舞で言う「互いの指先の先にふれる」と同じいわば一坐の「舞台言語」です。

日本各地の「ふるさと」でこの世に生まれ落ちたひとり一人の「他者」を訪ねて遠路を旅し、
その土地でしか成立しない唯一無二の「円」になって坐り、語り、舞う「円坐舞台」。

それは我々円坐衆にとって、避けて通れぬ現代社会や世界情勢と対峙する
まったく新しい位相での「人間と関わり合う姿勢」です。

人類はその歴史の中で、大陸を歩き、海を渡り、宇宙に飛び出してこの世界の成り立ちを探求し、
そしてブーメランのように再び地上に戻ってきて「人間という存在」を問い直し、
その地上での展開である「人間関係」という広大な領域を新たに発見し、
「人間同士が関わり合う」ことの謎と神秘への大冒険に乗り出しています。

円坐影舞という「舞台芸能」は、唯物的な信念を持つ我々現代人にとっては
まだ未知の領域である「質量の大きい時空間における人間関係」を表現しようとするものです。

「ふるさと円坐街道」で我々が旅する日本の各地には必ず、円坐を共に坐って人生を語り合い、
影舞を舞ってお互いの人間性を刻み合い、
時間を超えてその土地の風土と歴史に出逢っていく土着的な人間性が立ち上がります。

一昨日、種山ヶ原で、

「今回参加したのは、今まで別の主催者の『円坐』に参加したことがあるが、
本物の円坐はいったいどんなものか体験したいと思ったからです」
とおっしゃった東京から初参加の壮年の男性は、

昨日の夕方、仙台空港で

「思っていた円坐と全然違っていた。円坐は質量がとても大きい。
今まで体験したことのない真剣な質感の空間だった。
これはここまで来なければ絶対に分からなかった。
今度は四国の四万十や上勝のふるさと円坐街道にもぜひ行ってみたい」と語りました。

「質量の大きい時空間における人間関係」という僕の表現の「質量」という言葉は、
その東京の男性が洞察とともに口にされた言葉を念頭に置いて記しました。

彼が本物を求めて「会いに来てくださった」ことは本当にありがたい事ですし、
彼の真摯な円坐体験と、それによる彼の思考と認識の拡大は、一坐一同の喜びでもあります。

このたびの「みちのく旅の一坐『岩手・種山ヶ原』ふるさと円坐街道」を、
彼の精神と一緒に「歩き、辿った」記念としたく、
彼が発した「質量が大きい」という言葉を使わせていただきました。

円坐はいつも最高の「道の途中」で始まり、
終わると同時にもっと最高の「道の途中」になって新たに始まります。

奥州種山ヶ原まで日本各地から参集してくださった新旧の坐衆方々との、
道の途中における「最高の再会」を、僕はすでに心待ちにしております。

今週28日の土曜日に、僕は福岡県福津市津屋崎町の
津屋崎千軒“なごみ”」の和室をお借りして、
今回初めて僕が津屋崎で単独で主催する「津屋崎・玄界灘の円坐」を開催します。

15時から18時まで八畳の和室に坐る三時間の円坐(参会費三千円)ですが、
「口承即興円坐影舞 有無ノ一坐」の舞台活動と精神についてもお伝えします。

来たる11月3日に有無ノ一坐が同じ津屋崎の歴史的な木造建築「海のほとり玉乃井」で
「きくみるはなすかかわりあう「『玄界灘・津屋崎千軒』縁坐舞台公演」を実施するからです。
よろしければぜひおいでくださいませ。

翌29日日曜日は、博多駅前のARKビルディング3階に「布陣」する
「株式会社ヒューマナイズ」オフィスにて「第6回はかた円坐~縁起をまとう」を行います。

それから10月27日には「くまもと 子ども・若者 “よりそい” シンポジウム」で
基調講演に登壇させていただきます。

「傾聴」がテーマですので、
円坐や未二観、影舞の現場の「質量の大きい傾聴」の立場から
熊本の皆さんに語りかけたいと思います。

もう一つ追記です。
9月27日(金)19時~21時 福岡市博多区ヒューマナイズオフィスにて
第一回博多ミニカウンセリング研修会~人間関係論ゼミナール
〜聞き書き・オーラルヒストリー・ミニカウンセリング・未二観
「多死社会VS一人の人間の存在の証」
講師・守人:橋本久仁彦

お申込みお問合せは「はかた円坐」と同じです。

有無ノ一坐は九州の円坐衆のもとへの円坐影舞の旅を、
この命果てるまで辿り続けて参ります。
芸人としても人間としても若輩未熟の四人組ではありますが、
精一杯務めさせていただく所存です。

有縁の皆様方には、これまでの九州でのご縁に預かりまして
ご指導ご鞭撻を頂いておりますことを常々深謝しております。

一同ますます精進しこの道を踏みしめて参りますので、
これからも末永くどうぞよろしくお願いを申し上げます。

口承即興円坐影舞 有無ノ一坐
橋本久仁彦


写真は関ケ原古戦場円坐2024 大谷吉継とともに戦った武将・平塚為広氏 と