北海道鷹栖ふるさと円坐街道
湯本殉輝氏(じュんき)よりご案内
人と向き合い、真剣にかかわろうとする度に、自分の中の大事だと思っていた何かが、そこで崩れ落ちて行くような、何とも言えない感覚にいつも見舞われます。 大きなものも、小さなものもありますが、それは必ず起きている気がします。 上手く言えないけれど、それまで「これが自分だ」と思い込んでいたところのものが、 ひとたび相手のもとへと身を乗り出した瞬間から、ぐるぐるに掻き混ぜられ始め、それまで見たことのないような自分がまた新たにそこへ産み出されて行くような、 「なんだこいつは」「どうなってるんだ」「どうなってしまうんだ」とか自分でもどこかで思いながら、それでも腹だけ決めてそのまま藻掻いているうちに、なるようになってゆく。 そうやって相手と一緒にいる時間、一緒になる時間を、ひたすら運ばれて行ってるような心地がします。
一緒になると言いますのは、自分が掻き混ぜられている時には、相手も同時に掻き混ぜられているように感じるからです。 互いにかかわりあっているのであれば、片方だけが掻き混ぜられるというのは確かにありえないことです。 いったい何によって掻き混ぜられているのかは分かりませんが。 そもそもそれが、ふたりがそこに「いる」ということなのかもしれません。 こっちが真剣なら、相手もまた真剣にならざるをえない。相手が真剣ならば、こちらもまた真剣にならざるを得ない。 そうやって影響し合い、互いの存在が混じり合い、そこでふたりひとつになって行くとでも言いましょうか。 やりとりが何らかの形で終わるころには、ふっと元のふたりに戻り、また離れて行くわけですが、またそれまでとは、見える互いの景色が、明らかにどこか変わっている。 そんな心地のする一連の出来事を、ふれあうとか、かかわりあうとか、一緒にいる、とか僕は言っています。
これは別に円坐に限らず、日々の中でも起こることです。 けれども、決して起こらない時があって、 例えばそれは、同じ場所で過ごしてはいるけれど忙しかったり他に何か目的があって相手に関心が向いていない時や、 あるいはそもそも自分を差し出す気など無く、後ろに身を引いたまま、取り繕い当たり障りない立ち振る舞いをしているような時などです。
そういう時は、最中たいして疲れやしません。 傷つくこともそんなにはないし、「これが自分だ」とか「わたしが今ここにいる」とかいうところのものをひとり大事に守っていることもできるかもしれません。 けれど、たいして何も起きない。確かに楽(らく)かもしれないけれど、僕にすれば、それってどこか虚しかったりもする。 後になってからやっぱりすごい後悔を覚えたりもするし、そういう後悔を誤魔化して妙に正当化するのに苦労したりとか、わけわからん作業が始まったりもします。そんなんばっかりやってて、いったい生きてる意味あんのかなとかさえ、時に思うことがあるわけです。
とはいえ、楽(らく)もしたいのでそこに留まっていたいという自分も確かにおりまして、 だからそこはその時々で常に、絶えずせめぎ合いです。 毎日、そんなところで絶賛せめぎ合いまくることを原動力に、僕は生きているようにさえ思います。 そして、円坐に限らずと言いましたが、円坐はこれ桁違いに強烈です。 もちろん、自分次第なところもありますが、でも巻き込まれないはずはないです。 円になってみんな向かい合って坐っている状態だし、みんなが互いに見合っているわけですから、これはもう誤魔化しようがない。円になったそのままで、そこに映る景色や物音、匂いや懐かしい記憶とか、ぜんぶ一緒にぐるんぐるんに掻き混ぜられて、時間が来るまでひとつになりつづけて行きます。 面白いですよ。!!
僕は円坐の守人として、そんなふうに人と人とがふれあい、かかわりあい、一緒になれるような場を開きたいと思っていますし、 そのためにまず、そこに坐る坐衆のひとりとして独りよがりな「自分」を思いっきりあなたの前に崩して行けやと意気込んでいます。 この度、円坐の道を生業とする有無ノ一坐の4名が、はるばる大阪から北の国の我が家を目掛けて来道されます。 坐長の橋本久仁彦氏とお仲間のくぅこと松岡弘子氏は、去年に次いでこれで二度目の、橋本仁美氏におかれましては三度目の我が家ご来訪となります。そして今回は最後の一角、橋本悠氏もお初に駆けつけてくれます。
自分も人を訪ねて旅をするようになり、また改めて思うのですが、「あなたに会いに来た」「あなたを待っていた」と本気で思い、歩み寄ってくる人間の「あなた」に対する気迫というのは、たまたま居合わせた人のそれとはまるで異なり、なかなか半端ないものがあります。 僕にすれば、生きていてこんなに嬉しいことはそうそう他にはない気がします。
昨年末の徳島への帰省時には、僕の実家だからという理由でわざわざ大阪からの道中に立ち寄られ、限られた時間の中、僕の両親とも本当に良い時間をご一緒してくださいました。 こんな機会が来ようなど、当初は思いもよりませんでしたが、時を重ね、場所を重ね、それらが移り流れても互いに真剣にかかわりあい続けるからこそ、 織りなさされては前進して行く一足一足、そこに辿られる道というものが確かにあるんだなということを、身を持って感じています。
本気で人と向き合いたいと思っている方、そうやって関係を刻んでみたいと思っている方は、どうぞこの日、我が家めがけてお越しください。 謹んでお待ち致しております。パノラマに浮かぶ我が家からの大雪山連峰はまだまだ白き北国の山ですが、 足元の若草たちは元気にようやく春を迎えています。
北の国円坐守人 じュんき

北海道鷹栖ふるさと円坐街道
日 時 2025年5月14日(水)〜15日(木)
参加費 一泊二日3万円
内 容 円坐影舞、未二観、対談など
守 人 有無ノ一坐4名(橋本久仁彦・松岡弘子・橋本仁美・橋本悠)、
湯本殉輝(じュんき)
申込・問合先 enzabutai@bca.bai.ne.jp(橋本久仁彦)
会 場 ゆもと屋 (北海道上川郡鷹栖町18線10号6番地)
と千歳空港から会場までの道中
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