津屋崎の風景と人生を辿る古地図未二観の会
このたび、九州の玄界灘を臨む町、津屋崎で、『古地図未二観』の会を立ち上げます。この会は、有無ノ一坐が津屋崎で開催した円坐に、金氣穂乃香さんが坐ってくださったことによって生まれました。
有無ノ一坐の面々は先日、穂乃香さんが「はかた円坐」に来てくださったときに、長崎大学で仕上げた彼女の論文を拝読させていただきました。
穂乃香さんは長崎の町の古地図と現地を踏査し、今は姿形が見えなくなっても、生きてかかわりあう人の言葉と息吹の中に存在し続けている長崎の古層の土地や風景を新たに再発見しました。
論文は、物質的な感覚ではとらえられない存在や、忘れ去られた風景の実存性を回復する内容でした。
論文を読み進めるうちに我々は、「彼女が時空を超えて『まち』を見る視界」の中に入り込み、肉眼には見えない人間の魂の営みへの敬意がよみがえるのを感じました。
驚いたことに、彼女が語る「古地図に立ち上がる『まちに内在する風景』」は、「未二観の八分間や十五分間に立ち上がる『ひとに内在する風景』」と、まったく同じ心象世界の風景をとらえていました。
津屋崎円坐で初めて出会った時から、我々が彼女の所作やたたずまいに感じ続けていた「感覚」の正体が、その後の円坐でのかかわりあいを通じて具体的に明らかになったのです。
先日の「はかた円坐」で、古地図の次元と未二観や円坐の次元が見事に共振していることが分かった時、彼女はニコッと笑って、「同志!」という言葉を発したのでした。
その「同志の共振」が自然に増幅し、「津屋崎の風景と人生を辿る古地図未二観の会」が姿をあらわしました。
この共振は、「日本各地の風景と人生を辿る」共振であり、「世界各地の風景と人生を辿る」普遍的なバイブレーションでもあります。
こうして未二観は、人の言葉と同時に見えない土地、魂の古地図を辿る行為であることが明確になりました。
「古地図」という豊かな、物理的次元を超えた「まち」を新たに歩き、全体的な人生に参入することは、現代人として人工的で部分的な人生を生きる我々の日常にどんな影響をもたらすのでしょうか。
まずは皆さんと、未二観から古地図が立ち上がり、古地図から未二観が生まれる非常に生き生きとした心象世界、すなわち人間の魂の世界を八分間、歩いてみたいと思います。
口承即興円坐影舞
有無ノ一坐 橋本久仁彦
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ご挨拶
まちは時の経過とともに少しずつ変化しています。
新しいものが作られ、新しい出会いがある一方、なくなっていくものも少なくはなく、忘れられてしまったものも多くあることと思います。
しかし、今存在しないものであっても、誰かの記憶や思い出によって語られたとき、見えてくるものは確かにあります。
まちの中には人々の記憶や思い出が地層のように積み重なりあって、私たちもまたその上にありながら生活を重ねているように思います。
「津屋崎の風景と人生を辿る古地図未二観の会」とは、「未二観」という形でまちの方の語りを一言一句丁寧に辿ります。
語られる記憶から津屋崎のまちに内在する風景を古地図に立ち上げることを試みる会となりましょう。
「未二観」とは、二人向き合いそれぞれ8分間ずつ語り手と聞き手となり、それぞれの語りを辿るものです。
8分間の中では、語り手となった方は何を語っても沈黙でも自由な時間となります。
同時に聞き手は聴くことに徹しつつ、話し手の言葉を山びこのように繰り返しながら、語られる言葉を辿っていきます。
その過程で津屋崎の「古地図」が浮かび上がってくることを期待します。
「津屋崎の風景と人生を辿る古地図未二観の会」
金氣穂乃香
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<津屋崎の風景と人生を辿る古地図未二観の会>
日時:4月9日(水)13:00〜16:00
場所:旧 玉乃井旅館 応接間
(福岡県福津市津屋崎)
研修参会費:4千円