神戸・釜ヶ崎円坐街道 

神戸と釜ヶ崎って、何の関連があるの?
と不思議に思われる方がおられるかもしれませんが、
昨年、木下大樹さんと開催しました「寿町に坐(イマ)さふ円坐」
でお会いした横浜寿町で暮らされている篠原さんが、
前から行ってみたいと思ってた町だと仰ったので
「それなら神戸と釜ケ崎にぜひ行きましょう!」
とその時その場で、即、わたしたちは約束しました。

寿町を初めて訪れて、わたしは驚きました。
寿町は福祉や支援団体が組織的に町に入ってるようにわたしには見えて、
その多さに驚きました。
この世に生まれて死んでいくまで、ほんのわずかな時間を
自分一人の一生と思い込み、死んだら終わりとばかりに、
趣味や買い物、観光に明け暮れる人もいますが、
篠原さんは若い頃から苦労しながら、波乱万丈な人生に
なぜかたくさんの人の面影や表情が感じられ、
篠原さんからは、仕事の仲間やご家族、そして、
やりあった喧嘩相手の姿まで、
当時の町の景色とともに鮮やかに目の前にあらはれます。

町は一緒に歩く人によって、そして、関わる人によっても、様相を変えます。
町の表情や景色だけでなくその土地の地形や歴史まで変わってしまうのは、
旅する者のまなざしの本質でもあると言えると思います。

人間と人間の関係や、人間の背景には、
どれだけあまたのご縁があるのでしょうか? 
ご縁というのはおそらくきっと無尽蔵なのだと思います。

ところが、人と真剣に関わらなければ、
ご縁から大事なものは生まれず、有力な他者の懐に潜り込んだり、
町の誰かに似せて同化することで町を固定化したり、
それでは人と真剣に関わりあわず町に紛れて消えてしまうことになるでしょう。

前年度、生駒石切円坐守人十六番稽古に参加し、
円坐守人として門前でしっかり人と関わり始め、生涯稽古と決意し、
寿町におきまして自ら円坐を始めた木下大樹さんの宣言文です。
この文章の行間からは、大樹さんにとって篠原さんの存在が大変大きいのが、
はっきりとわかります。ぜひご高覧ください。

木下大樹さんとわたしたち有無ノ一坐も
これから末永くお付き合いさせていただく所存です。
宜しくお願い申し上げます。

有無ノ一坐 松岡弘子

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横浜・寿町より、篠原さんと共に神戸・釜ヶ崎へ向かいます。

きっかけは、昨年11月に開催した<寿町に坐(イマ)さふ円坐>でした。
篠原さんがこれまで行きたかったけれど行ったことのなかった場所。
それが神戸と釜ヶ崎です。
篠原さんが寿町に来たのは16歳の時。
その頃から港湾での日雇い労働に従事してこられました。
篠原さんが暮らし、働いてきた横浜に“似ている”と伝え聞いた、
神戸の街を実際に歩きます。
大阪・釜ヶ崎は三大寄せ場のひとつなので、
篠原さんが行ったことがないのは驚きでしたが、初の訪問となります。

篠原さんの思い出話はいつも生き生きとしていて、
ついさっき見てきたような新鮮さがあります。
篠原さんの言葉を通じて、ご家族や友人、仕事仲間の姿を
鮮明に思い浮かべることができます。きっとこれは、
篠原さんが目の前の人と素のまま、本気で付き合ってきたからなのだと思います。

「喧嘩はちゃんとやらないとだめだ。わだかまりが残るからな。」
と篠原さんはいいます。
相手に自分がどう映るかを意識するあまり、本音自体も忘れ、
言葉を取り繕って相手と関わることをよしとしてきた身としては、
篠原さんの胸を借りて、真っ当な人付き合いを教えてもらっている気がします。
そんな篠原さんが行きたいと言った場所なら、お供させていただくしかないでしょう。

今回は、篠原さんが行きたかったところに行くだけではなく、
行く先々で円坐をすることになろうかと思います。
神戸・釜ヶ崎行きも、もし普段の何気ない会話の中だったら、
なんとなく聞き流していたかもしれません。
円坐の中で語られた言葉の「大事さ」のようなものを感じとり、
私も篠原さんも神戸・釜ヶ崎へ向けて、
約束を果たすために動いているのだと思います。

神戸・釜ヶ崎円坐街道、どのような旅路になるかは分かりませんが、
それがどのような結果であっても、私の人生で
忘れがたいものになるだろうことは確信しています。
ご一緒いただくみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

木下大樹

< 神戸・釜ヶ崎円坐街道 >

日程:2025年6月18日~19日
集合:6月18日11時 新神戸駅改札横切符売り場
解散:6月19日16時 新神戸駅
守人:木下大樹 橋本久仁彦 松岡弘子 橋本仁美
参会費:30,000円
宿泊先:民家(大阪市西成区千本北)
宿泊費・食事代:実費各自負担移動
交通費(ガソリン・高速代等):人数でシェアします
申込・問合せsoumon.enza@gmail.com 松岡
有無ノ一坐https://umunoichiza.link/