横浜寺家町・中尾聡志と橋本仁美の円坐

中尾聡志さんとは現在、円坐守人の稽古会「生駒石切円坐守人十六番稽古2025」 でご一緒しています。このたび横浜の寺家町で中尾聡志さんと3時間の円坐をやる運びになりました。

円坐はいたってシンプルです。数人集まって座り、一定の時間をともにするだけのことです。そのシンプルさゆえにどんなことも話題にしてよく、ほかの参加者や主催者にまったく忖度なしに、いかなる振る舞いをしてもかまいません。ただしそこには自分以外の人も同じ条件で座っている訳なので、自分の立ち居振る舞いに対し他の人がどう応答するのかは全くの未知です。そのような場なので各人は互いの振る舞いに対して忖度ではなく真剣さで向き合うようになり、そこからそれぞれの人間同士が唯一無二の関係をつくっていけるようになります。

中尾さんとは、互いの生き方が違うために石切で毎回うんざりするくらいぶつかります。そのたびに互いの人間性がわかってきます。その先にあるのは、「違う人間だから離れる」という世の中の一般的な展開ではなく「違う人間のまま付き合う」ということです。今の世の中のほとんどの人は、自分と違う人間とわかると簡単に離れてしまうので、違う人間のまま他者と付き合えるという事実を知りません。

中尾さんのいる横浜でやってみたいと思うのは、大阪にいる私からみて、今回やる横浜はどうかまだわからないのですが、東京方面では円坐はまったく求められていない気がするからです。わたしとあなたの唯一無二の関係は求めていない気がするのです。たぶん、どうしようもない自分をさらけ出して付き合うのではなく、各自が「こうありたい、こう見られたい」理想の人間を目指していて、その理想のモデル同士で付き合っているのかなという気がします。

怒らない穏やかな自分、人生が充実している自分、悲劇にあっている自分。いろんなキャラを作ってそれをドレスコードとして共有し合ってそのキャラクター上で関わり合っているように私からは見えています。

「ありのままの自分」というキャラクターもおなじみです。多くの人が「ありのままの自分を受け入れてもらいたい」「これがありのままの私です」と言いながら、自分をさらしてありのままに剥き身で他者に関わっていくことはしません。

「私は人の話を聞けていないんじゃないか」「話を聞ける人になりたい」というのも常套句ですね。「『聞く』を人付き合いのなかから抽出して、それだけを勉強していくと変なところにはまってしまう」と中尾さんは言っていました。

聞ける人、聞けない人がいる
聞ける場面、聞けない場面がある。

本当にそうでしょうか。まるで手術をするみたいに「聞く」を関係性のなかから摘出してしまうから、本当に起きていることが見えなくなります。本当に起きていることをあきらかに見るのは時間と根気がいるし、そうではなく手っ取り早く楽になりたい人が多いのだろうなと思います。

聞くというのは相手と、相手との関係が起きる現場があるからこそ成り立っているのに、「聞ける人になる」というあたかも自分ひとりでいつでもどこでもできるかのようなよくわからない方向性。結局は相手をコントロールしたいだけの人が増えていっているように思います。

そんな現代の都心部付近での円坐はまったく求められていない気はしていますが、あえてそこで円坐をすることでなにが見えるのか、そして誰に会えるのか楽しみだ、という私なりのみなさんへの関わりあいと挑発です。

では、どなたもどうぞご参加お待ちしております。ご一緒できるご縁を楽しみに横浜へ参ります。

有無ノ一坐 橋本仁美

横浜寺家町・中尾聡志と橋本仁美の円坐

◆日 程 7月28日(月)
◆時 間 19:00〜22:00
◆参加費 3000円
◆守 人 橋本仁美、中尾聡志
◆会 場 「里のengawa」のはなれ
    HP https://satonoengawa.com/
    横浜市青葉区寺家町522
    アクセスはこちら
◆申 込 橋本(hitomi.hashimoto918@gmail.com)までご連絡ください

有無ノ一坐の橋本仁美さんにお声がけいただき、横浜で一緒に円坐をひらくこととなりました。「今度東京行くから円坐かなんか一緒にやろう!」と仁美さんからメッセージが来たとき、僕がどれだけ嬉しかったことか。

仁美さんとは、今僕が2月から通っている大阪石切で開催されている円坐守人稽古会でご一緒しています。そこの毎回の円坐で何度僕の振る舞いや態度で仁美さんを怒らせたり苛立たせたりしているか。そんな関係の人から「一緒になんかやろう!」とメッセージが来る。数秒の戸惑いはありつつ、でも素直に嬉しかったです。

仁美さんとは出会って10年ぐらい経ちます。

何度か円坐についてだったり、音楽についてだったり、お互いのそのときの関心ごとについて仁美さんと語り合うのはとても楽しい時間でした。

今、稽古会で何度もぶつかりながら、ヒリヒリするような関わり合いの中にいますが、以前とは違う、仁美さんがいないときも仁美さんをズーンと感じられるような、そんな日々が僕の日常にあります。

お互いまったく違う、相性悪いだろって二人にも関わらず、一緒にいて関わり合いが続くという事実。緊張感はあります。でも妙な安心感もあります。不思議です。

そんな仁美さんとひらく円坐です。

ぜひご一緒ください。

円坐は、テーマなどない非構成の時間と空間ですが、今の僕の居所としては「聞く」と「かかわりあう」ということについて、仁美さんや今回一緒に坐っていただける方と話してみたいです。

どうぞよろしくお願いします。

中尾聡志