北安曇郡池田町円坐 ~ 紅葉稜線編

晩秋の有無ノ一坐の「歩き円坐」は、アイターンで移住する人々が増えている長野県の北安曇郡池田町へ向かいます。

ある土地を訪ねて円坐を開くと、「人の縁」が生まれ、深まり、あるいはよみがえります。
それまでまったく会ったこともなかった方々が、ずっと前から知っていたような人々に変わります。

オンラインで電子化できる情報をやりとりするのは便利ですが、特定の土地に出向いて土着の時空に華と開く一輪の円坐は、「便利」ではなく「人間の実存」です。

「人間とは何かを知りたい、とずっと思ってきたが、円坐でそれを見たい。」
と、昨日、徳島県の上勝町で、「上勝deつなぐ円坐」を主催された武市あゆみさんがおっしゃいました。

人間とは何か。
わたしはなぜここにいるのか。
そしてどこへ行こうとしているのか。
人間という存在の「本当」を見たい。
我々有無ノ一坐の守人連も、その問いに動かされ、呼ばれて円坐旅を続けています。

すぐに答えを得ようとせず、ひとつの問いをはっきりと持ち、その問いを生きることを自分の生き様として人生を貫くと、問われた「相手」は必ず答えます。
問わなければ答えは永遠に返ってきません。
問わずに他人が吐いたコトバを飲み込んで自分の答えにするすり替えの人生態度が出来上がります。

問わずに生きることを否定しているわけではありません。
しかし、すり替えは事実ですから、円坐での態度が利己的に揺れ動き、筋の通らない生き様を露呈します。

円坐の「対峙、仕合、かかわりあい」は、ふたりの人間の間で「天地の筋が通る」ことによって光度を上げて行きます。

先月、9月18日の「越前の国、葬式ライブ円坐~若州一滴文庫縁坐舞台」の折に、武生市の立憲民主党の事務所で、衆議院議員の辻英之さんに会いました。

有無ノ一坐の松岡弘子と旧知である辻議員と親しく会談しましたが、言葉を交わすうちに、辻さんの原発産業の闇に対する命がけの対峙と仕合の風景が立ち昇って見えてきました。
穏やかで人当たりの良い秘書の山口健太郎さんも、その魂に同じ炎を燃やしておられました。

原発反対運動の最中、武生市のとあるお寺のそばで、不審な死を遂げた辻さんの兄、辻一憲さんの魂がそこに立ち上がっていました。

一憲さんの非業の死に向き合い、たったひとりの弟として、そして一人の人間として、大学教授の仕事を投げ打ち、筋を通そうとする生き様。

一憲さんの秘書であった山口さんは、言葉には尽くせぬ思いをその魂に包み込み、弟である英之さんの呼びかけに応えて再び秘書として一身を投げ打つ覚悟を決められたのでした。
お二人と歓談しながら僕は、いつかともに円坐に坐ることがあるかもしれないなと思いました。

僕は、水俣市の水銀汚染被害者の遺影が飾られた部屋で行った縁坐舞台の経験を思い出しながら、円坐の仕事が時に、人々の奥深い闇と因縁に対峙するという意味での「縁坐」でもあることを語りました。

すると辻さんは、
「私の実家は小浜市にある旧家です。
どうぞいつでも私の実家を使って円坐をしてください。」
とおっしゃってくださったのでした。

しかし亡き兄上とともに闘いの渦中にある辻さんは、まだ円坐に坐るおつもりはないようでした。
この日は9月18日、奇しくも翌19日は、県会議員であった辻一憲さんが、我々がいる事務所からほど近くの路上で倒れられた日だったのです。

あるいは闘いが一段落したとき、「越前小浜ふるさと円坐街道」のはるかな旅路を、兄上とともに辿ることもあるでしょう。

我ら有無ノ一坐にも、筋を通すべきかかわりあいがあります。
我らは我らの筋道を生きるため、晩秋の信州池田町に、有無ノ一坐乾坤一擲の円坐を開きに参ります。

「あら楽し 思いは晴るる 身は捨つる 浮世の空にかかる雲なし」

口承即興円影未二 有無ノ一坐 橋本久仁彦

みなさま

北安曇郡池田町円坐~紅葉稜線編を開催いたします。

今回の集合場所に指定しているJR北細野駅は信濃鉄道時代「おかめ前駅」と呼ばれてたそうです(「おかめ」とは、JR北細野駅の西にある鈿女神社に祀られている芸能神「アメノウズメ」のことです)。

鈿女神社から西側の北アルプス麓の山を散策したり、
高瀬川を渡り池田町東側の地区を歩いてみましょう。

花見地区や会染地区は、東山斜面に広がる地域で高台のため、
お天気がよければ、北アルプスの雄姿と稜線が一望できます。

紅葉した山を歩き、北アルプスの稜線を一望する円坐の旅へ!
ご縁をお待ちしております。

有無ノ一坐 松岡弘子

< 北安曇郡池田町円坐 ~ 紅葉稜線編 >

日時:2025年10月26日(日)13時~16時半
場所:長野県北安曇郡池田町花見地区
守人:橋本久仁彦 松岡弘子 橋本仁美
会費:6,000円
申込:soumon.enza@gmail.com 松岡

集合:13時 JR大糸線 北細野駅前(信濃鉄道時代は「おかめ前駅」と呼ばれ「おかめ」とは北細野駅の西にある鈿女神社(うずめ神社)に祀られた芸能の神「アメノウズメ」のこと)

アクセス:松本駅 (12:18発)→北細野駅 (13:00着)
    関東方面~JR中央線特急あずさ 松本駅→JR大糸線 北細野駅
    大阪・京都方面~アルピコ夜行バス 松本BT→JR大糸線 北細野駅
    池田町へのアクセス | 長野県・あづみ野・池田町
    https://www.ikedamachi.net/0000000071.html

主催:有無ノ一坐 https://umunoichiza.link/