第25期 影舞幻想山月記
明日から始まる「影舞幻想山月記」のクラスが第25期目となりますので、あらためて影舞の本質を解説いたします。
影舞は、土地と相手と観客にお辞儀して、互いの指先を合わせる「作法」から始まります。
影舞の「作法」の意味を理解するために、まず、我々人間が4つの器(うつわ)が重なってひとつの身体を構成しているという、かかわりあいの上での経験事実を押さえておきましょう。
①筋肉や骨格など物質的外面の器は肉体、
②血流や細胞分裂、新陳代謝を仕切る器は生命体、
③感情や感覚を担う器は感情体、
④名前が付いて社会的個人になる以前の器が「空の私」すなわち唯一無二の個我(自我)である意識体です。
影舞の指を合わせるシンプルな外面の形は、円坐と縁坐舞台の現場から生まれてきました。
影舞の内面、内実は、円坐のかかわりあいそのものです。
ですので、円坐に深くかかわりあっている方々の影舞は最初から影舞の本質を体現しています。
影舞はさらに縁坐舞台が表現する「空ノ位相」を備えています。
影舞という芸能の本質は、縁坐舞台の「空ノ位相」と、日常の物質世界である「色ノ位相」をつなぐ「橋」であるということです。
この橋の働きは「即」であると表現できます。
即とは「すなわち」であり、時間を超えた速さによってふたつの世界がひとつに重なる即時即座の「即」です。
影舞は「空即是色 色即是空」の超越的な時空を、物質的な地上に臨在させるものであるために、宗派を超えて神社仏閣や聖地で舞うことができます。
また、日本各地に住む土着の方々のご自宅やご家族、墓所の前まで進み出て、失礼なく舞うことができます。
円坐を伴わない影舞の場合、最初にかかわりあうのは物質的な肉体と生命的な身体感覚だけです。
ですから肉体を持ち、呼吸する者同士ならどなたでも「身体的な影舞を舞う」ことが出来ます。
稽古を重ねるうちに、舞うお互いと観る観客がだんだんと真剣になってゆく「円坐舞台」の構造の中で、人間としての存在態度がより深く真摯になると、相手と自分の感情体や個我意識、お互いの生き様が直接かかわりあい始めます。
円坐という「実存する目覚めた個我」への上昇気流を通過していない「感情と肉体の影舞」には、お互いの利己的な生き様や、自己中心的な思いや願いが多層的にあらわれて来ます。
日常周囲に見せている「好ましい姿の似せ者」の人格は、影舞の「未知の運び」の中で浮き上がり、脱落していきます。
そして、「この人生を生きてきたつもりの自分の姿」が、唯一無二の本物の自分を眠らせている姿であることが、初めて自分の視界に入ってきます。
この視点を担うのが個我意識です。
多くの方々が、相手とのかかわりあいの中で見えた「初めて見る自分の姿」に驚き、様々な反応を示されます。
これが門前にある第一の関所です。
影舞の「門前稽古」を実践する者は、この地点で初めて、自分が本当に目を覚ましたいのかどうかの意識的な選択の機会を手にすることになります。
この位置に立って初めて、日常の社会生活を続けてきた自分の姿が幻想であった、と確信を持って自覚し、幻想と現実の区別を明確に押さえて生きる方向が見えるからです。
その確かな方向感覚は、幻想ではない生き様、すなわち、他者と世界に対して自然に、十分に生死を賭け、それゆえ生死を超え、自己中心の姿勢から生じる恐れを越えて生きてゆけるという予感になります。
予感はだんだん大きくなり、まるで誰かがそこにいるかのように、未知の存在とのかかわりあいの人生に向かうよう迫って来ます。
予感とともに第一の関所を越えて、かかわりあいの中で幻想と現実を区別する道をさらに進むと、「今までの自分からの自由」を実現できる感覚が遠くに垣間見えて来ます。
その感覚は、いわば「円坐影舞の緑の野原」から吹いてくる「野の風のさわやかさ」です。
この「さわやかな野の風」の感覚領域では、自己中心的に「ふれて」「感じる」と思っていた「肉体的影舞」の感覚は、広大な空間と風景の全体感覚に転化します。
「自己中心」がほどけて外へ向かって裏返り、他己中心、世界中心の在り方に移行するためです。
物質的な肉体を燃やして熱い血を通わせ、感情を抑圧せず上昇気流とし、唯一無二の名前の無い「空のわたし」に向かって移り往く旅路が、仲間と最期までかかわりあう愛と信頼と友情の風景を歩く旅路であったということ。
四つの身体を貫くこの内的な確信が、円影未二の有無ノ一坐の芸能がこの世に存在する理由です。
まったく「飽き」や「虚しさ」がやって来ない無類の人生の面白さが実現するのは、この内的な確信が四つのからだを通して生きているからです。
以上の事情から、明日から始まる第25期のクラスは「影舞幻想山月記」と号しています。
散る桜
残る桜も散る桜
散り花香る影舞山月
一期一会の裏花見
ご縁をお待ち申し上げます。
口承即興円影未二 有無ノ一坐 橋本久仁彦


<第25期 影舞幻想山月記日程>
※7月は3回の開催、8月が1回だけになります。
①7月10日
②7月24日
③7月31日
④8月21日
⑤9月11日
⑥9月25日
⑦10月9日
⑧10月23日
※いずれも金曜日
時 間19時~22時過ぎ
18時より生徒貸切喫茶「柿の木の下」開店
参会費 4千円(8回通し3万円)
会 場 大阪市西区千代崎スタジオ
申込問合 橋本まで


