未二観レビュアー相聞守人養成クラス

有無ノ一坐が未二観のレビュアー(8分間や15分間の未二観の録音記録をレビューする守人)を
養成するクラスを開講します。
未二観は有無ノ一坐の傾聴芸能を支える背骨であり、円坐空間を建築するための支柱です。

僕がミニカウンセリングや未二観のレビューを行って参加者に聞いていただく研修会は
今までたくさん開催してきましたが、
自分自身で未二観のレビューができるようになるための実力養成に
焦点を当てたクラスの開講は初めてのことです。

八分未二観は「八分間」という小さな時空の窓を通じて我々人間の意識的世界から、
意識を越えた世界に至る広大な拡がりと奥行きをとらえます。

通常の外的な世界は、未二観の八分間の中に参入すると、
我々ひとり一人の内的意識界と密接不可分な一体となった有機的現象として体験されます。
やがて見えてくるのは、シンクロニシティが全面的に起こり続ける未二観の超越的な舞台世界です。
それが「未二観」(二つに分かれる前の姿を観る)という名称の由来です。

僕が40年ほど取り組んできたカウンセラートレーニングとしての「ミニカウンセリング」は、
個人主義と生命主義に基づく「カウンセリング」という限られた概念の中で成立しています。

共感的応答や自己一致、肯定的尊重などのカウンセラーとして学習すべき「促進的態度条件」は、
未二観の八分間という空間傾聴(相聞傾聴)の立場と比較して見ると「個人的・部分的傾聴」であると言えます。
未二観の八分間の中に起こる現象は、たった八分間なのに全体的な空間として「生きて」います。

八分間の生きた空間活動の中では、新たに時間を作り出す我々の驚異的な思考能力や、
そこにあらわれるすでに「死んだ」存在やこれから生じる出来事など、
多次元世界に生息する人間の姿や様(サマ)を確認することができます。

未二観の守人(聞き手)にとって、八分間の未二観(相聞)空間の開始の宣言は、
最初から我々の存在を時空と一つになった全体の姿としてとらえる覚悟を示しています。

別の言い方をすれば、
宇宙全体を代表する唯一無二の「部分的存在」として我々人間の姿をとらえる決意です。

これは技法ではなく、満たすべき態度的条件でもなく、
全面的な革命であり、まだ体験していない未知の位相への完全な転身あるいはメタモルフォーゼです。

ジャズの映画『ブルー・ジャイアント』で、ピアノの技巧が完璧に上手なリーダーが、
人間としての生身の演奏を追求するサックスプレイヤーの主人公に、

「お前、一度死んでくれよ!」

と言われるシーンがあったと思いますが、

このシーンはまさに円坐や未二観の守人が本当の守人になるために通らなければならない同じ関門を指しています。
この関門を通るためには、本当に生きて欲しいと魂に切り込んでくれる真剣な仲間や先達が必要です。
それを実行できる真の仲間がいてこそ初めて体験できる自分自身の精神の深みとの出逢いを、
この映画は如実に表現していて見事でした。

本物になってくれよという、愛する仲間からの直接的な命がけの願いが、
「一度死んでくれよ」という叫びに込められていたと思います。
これは誰もが通らねばならない道ではないと思います。

もしかしたら少数のご縁ある方々にだけ意味があるのかもしれませんが、
音楽の世界でも、円坐や未二観を主催する守人の世界でも、
本物であるためには同じ質のメタモルフォーゼ(変身)が必要です。
有無ノ一坐の守人稽古はこの精神的関門を通過していきます。

それは時間を重ねて「手に入れた気づき」や「上手な振る舞い」ではなく、
ただ「本物」であることで、本物であることに時間は必要ありません。

そのため希望者が「未二観」という「聴く姿勢」を身につけるということは、技術や技法を手に入れることではなく、
主観的で部分的な我々の人生観が、時間以前の空間で、
主客未分の全体的な人生観に180度転回してしまうことを意味します。

その瞬間、自己と他者との人間関係を時間の中でとらえ、
対象操作的に考えることで生じていた「恐怖心」は消え去り、
懐かしい他者と初めて正面から対峙し、仕合い、出逢います。

「初めて」という無時間の中で、他者とは、本当は自分自身であることが分かります。

有無ノ一坐 橋本久仁彦

<未二観レビュアー相聞守人養成クラス 日程>

①10月21日(土)
②11月18日(土)
③12月16日(土)
④2024年1月27日(土)
⑤2月17日(土)
⑥3月16日(土)

毎月一回土曜日19時15分~22時15分
(3時間二作品の相聞レビュー)

17時半より喫茶リエが開店します。
3時間連続の集中稽古に備えての夕食やお茶の時間としてご活用ください。

<研修費>全6回:12万円
     単発1セット2か月:4万4千円
<会場> 有無ノ一坐千代崎スタジオ:大阪市西区千代崎2-20-8
<申込> 有無ノ一坐 橋本まで。(enzabutai@bca.bai.ne.jp

<有無ノ一坐副坐長より詳細ご案内>

皆様。

未二観のレビュアー養成講座を今月21日より開催いたします。
ひとつの、八分未二観の舞台を設え、その直後即興レビューと相聞円坐をおこない、
翌月、文字起こしした逐語記録をもとに、橋本久仁彦氏がレビューをおこないます。

2か月で1セット、全3セット6か月の、未二観のレビュアー養成講座をおこないます。
定員は6名としますが、レビューのみ2か月1セットの単発参加も募集いたします。

一方通行の傾聴カウンセリングならば口から出るに任せて話すだけになりますが、
未二観は、あなたとわたしという舞台で向き合いひとつの相聞空間をたちあげて、
お互いの目に見えない存在感や相手の姿勢など様々な状況下で影響を受けながら、

息づかいもふくめ、間合いや周囲の音、
観ている人たちのまなざしに照らされ、
言葉をひとつ一つ置くことになります。

たとえば、そのようなつもりはない、と押し通し、
起きている事実を葬り事無きを得てきたとしても、
相手と向き合うと、何度も繰り返してきた今までの思い込みが崩壊するのと同様、

双方向の未二観を、相聞舞台で照らされ見返し、ふりかえることは、
結果、自分と向きあうことになり、人生は変わってしまいます。

録音した音源をそれぞれが持ち帰り文字に起こしてレビューしてもらうのではなく、
まず即興でレビューして、全員で円坐になって現場で起きている事実を捉えます。

次月は、自分の語った八分間の舞台を文字起こしし、
相手の人の語った八分間の舞台の逐語記録とともに、
橋本久仁彦氏の講義とレビューを通じて、
更に深く考える、という時間を持ちます。

円坐や影舞に真摯に取り組んでいる人、
自分の人生で棚上げにし続けてきた人、
その事実から逃げずに向き合いたい人、
言葉と身体と舞台に関心のある人など、

そのような動機のある方には、おすすめです。
ご縁をお待ちしております。

有無ノ一坐 松岡弘子