第24期影舞山月記

毎月二回、金曜日の19時より大阪千代崎の有無ノ一坐スタジオにて「影舞山月記」を開催しています。影舞は、ふたりの人間の肉体と魂と霊性がかかわりあう全体的な「生き様の舞台現場」です。他者との自由で生き生きとした直接的なかかわりあいは、現代社会では急速に消失しつつあります。

人間同士の個性的で野性的なかかわりあいは、「やり方」や「スキル」「モデル」「デザイン」などとして概念化され、「How To」によって再編集され管理されるようになりました。

個性と野生は、「他の人はどうするだろう」と真っ先に考える「標準に合わせる受け身の人格」と、知性的に「賢く」空気を読んで特定の人物や体制に従う「社会化された反応」に置き換わり、言っていいことと言わない方がいいことをあらかじめ考えて発言を調整する「自己検閲」のマインドセットが多くの人々の内面で「機能」しています。

学校や福祉の現場でも、人間の全体的な、それゆえ常に未知で新鮮なかかわりあいの代わりに、部分的な既知の知識、すなわち「情報」にもとづいた予想可能で管理された「コミュニケーション」が求められています。

今日ではまず周囲や組織から肯定されることが優先され、1970年代には通用していた「人間疎外」という言葉は死語となって人々の意識から消えつつあります。それどころか「疎外感」は「自分の問題」であると結論づけて自己中心的な思考に引きこもる姿によく出会うようになりました。

体験することだけが可能で、知的な分析と管理が不可能な人間の本質である「霊性」と、その地上的な実現である「存在することの尊厳」は、社会的、心理的な人間関係上のデジタルな情報として操作的、物質的に解析されて、人工的なプログラムやコンテンツの一つである「自己肯定感」に置き換わってしまいました。

こうして我々現代人は「人間の尊厳」と、それを成り立たせている基盤である「死と霊性」を実感として感じることが出来なくなり、常に心の奥に空虚さを抱えています。

機能的で都会的な現代の社会生活の影響下で、我々は「個人的な自己実現=full functioning person(フルに機能する人間)」を目指して生きるよう教育され、「社会的に機能すること」によって空虚さを埋めるように組織的に導かれていると言えるでしょう。

口承即興円坐影舞・有無ノ一坐の「円影未二」の芸能のひとつである影舞は、あえて無防備に他者の前に我が身を置き、自他の尊厳に辞儀をすることから始まる生身の人間と人間の「かかわりあいの舞台」です。

向き合うふたりの人間の、指先と指先がわずかにふれあって始まる影舞のリアルなかかわりあいは、全体性という大海原から無限に生まれる「コピーできない波」であり、「管理できない潮の流れ」です。

影舞の舞台が成立する背景には、我々の自己中心的で小さな思考がコントロールできず、管理できないもうひとつの全体的な思考、いわば「全体中心的な大きな思考」があります。

大きな思考は、我々の唯一無二の存在を保証し、規定する我々自身の「オリジナルの言葉と現実」としてあらわれます。

有無ノ一坐の「口承即興」とは「オリジナル=全体からの言葉を発する我々自身=自他の存在のトータルな立ち上がり」のことであり、この「あなたとわたしの存在が立ち上がる時空間」が「尊厳の位相」です。

我々の日常生活が尊厳の位相に生き生きと重なり、生きていくことの尊さと厳しさによって照らされている時、「自由に生きること」が実現し、「自分自身であること」が最期まで面白く、他に必要なものは無くなります。

よろしければ毎月二回、尊厳の位相を言祝ぐ影舞の舞台稽古をご一緒いたしましょう。

口承即興円影未二 
有無ノ一坐 橋本久仁彦

<第24期影舞山月記>

【日程】 

①7月11日
②7月18日
③8月8日
④8月22日
⑤9月5日
⑥9月19日
⑦10月10日
⑧10月24日   
(いずれも金曜日)

【会場】
大阪市西区千代崎2-20-8(有無ノ一坐スタジオ) 

【時間】
※18時より稽古生貸切にて喫茶リエ開店
第Ⅰ部 19時~20時30分
(喫茶リエにてインターミッション)
第2部 21時10分~22時15分

【参会費】 単発参加4千円 全8回通し参加 3万円

【申込】 有無ノ一坐 橋本久仁彦まで。
(℡090-6066-7782)