北海道 釧路【霧のものがたり円坐】
(主催の濱屋公紀子さんよりご案内です)
北海道釧路市。釧路湿原と丹頂鶴と霧と漁業のまち。
しっとりと霧に包まれ、潮の匂いがたちこめる釧路にて【霧のものがたり円坐】を開きます。
(実際には霧は初夏に多くかかります)
釧路は私の生まれ故郷です。
3人姉妹の末っ子ですが、小学生の頃には一番上の姉は東京へ行き、
中学生の頃にはもう一人の姉も東京へ行き、一人っ子みたいな高校時代。
家族5人で過ごした思い出といえば、物心つくかつかないかの幼い時の記憶です。
段々と成長と共に人数が減っていき、高校時代には父親も長い出張に出ることが多く、
家族の匂いは薄くなり、賑やかな声は小さくなり、寂しげな霧の街。
それが私にとっての釧路の面影です。
そのせいか、私にとって故郷は、特に思い入れのある場所ではないような気がしています。
いや、本当にそうなのか?
それはちょっと分かりませんが、昨年、石切で円坐守人研鑽クラスに通い、
最後の日に、自分が守人となって開催する円坐の案内文を発表してください、となったとき真っ先に思い浮かんだ場所は、
故郷・釧路。そして幼き日々の思い出が色濃く残る阿寒での円坐でした。
くにちゃんやくぅさんを連れて、釧路の地に立ってみたいと思った。
あの場所で影舞をしてみたい、円坐をしてみたい。
あの時見ていた景色の中にある、寂しさや孤独感、静けさ、悲しみ。
それは今、私の目にどう映るのか。私の身体はどう動くのか。
私は、今年の2月に仲間が主催した北海道・鷹栖の円坐に参加しました。
その時の円坐中、明確に言葉にしたこともなかったような思いを話していた。
話しながら「あぁ、こんなことを両親に対して思っているんだなぁ私は」と観察をするように、スルスルと出てくる言葉を追いかけていた。
休憩を挟み、次の円坐がはじまったとき、急に、その言葉たちが、私の身体の中に沁み入るように落ちてきて、不意に涙が出てきた。
話していた時には、身体の外に漂っていた粒子たちが、雨粒となって涙となって姿を現したかのような不思議な体験でした。
これは、紛れもない、私の望みだと思った。
まるで霧が晴れるように、視界が鮮やかになった感覚を覚えています。
守人の稽古をしていた時に持っていた問いの一つ「言葉はどこからやってくるのだ?自分の内と外とはなんだ?」
その問いかけに一つの答えがやってきたようです。
私にとって、釧路には、今もまだたくさんの言葉が充満していて、かたちにならぬ気配としてそこに息づいているように思うようになりました。
それは、たった一人で探しに行ってもきっと出会えるものではない。
これは私の「個人的な」「プライベートな」思い出にすぎない、のではなくて、
ご縁あって集う人たちと共に言葉を交わすことで開く扉の向こうに、その気配の中から立ち現れてくる「ものがたり」があるように思う。
霧のものがたり円坐
◉開催概要
【日時】
令和4年10月8日(土)~10日(月・祝)
【時間】
参加者の釧路空港への到着時間によって前後します。
【参加費】
4万円(滞在中の宿泊費、移動費、円坐参加費含む)
※食費は別途各自でお支払いいただきます。
【場所】
北海道釧路市、阿寒(あかん)、白糠(しらぬか)など
【宿泊】
釧路の隣町、白糠(しらぬか)にお住まいの方のお宅に泊まらせていただきます。
男女別で一つのお部屋でシェアしていただく形になるかと思います。
※寝具のご用意がありませんので、各自寝袋等のご持参をお願いいたします。
(下に敷くマットはこちらでご用意しています)
【円坐守人】
有無ノ一坐 橋本久仁彦・松岡弘子、濱屋公紀子
【定員】
3~4名ほど
◉10月7日の追加企画
【くにちゃんと「釧路縁坐舞台」を巡ろう!】
~きくみるはなす釧路縁坐舞台~
8日から2泊3日で開催する場に先立ち、早めに釧路入りしてくださっているくにちゃんと共に縁坐舞台の時間を過ごしたいと思います。
この日は車が使えないので、自分たちの足で行けるところをご縁の舞台としてゆっくり踏みしめてまいりましょう。
閑散としてしまった市内を歩き回るもあり、1車両しかない汽車に乗って移動してみるのもあり、その時々のご縁とひらめきで、「釧路名残りの出稽古ドサ廻り」の道行きを辿りたいと思います。
7日の参加費用は5,000円とさせていただきます。
(交通機関の移動費用等は各自でご負担ください)
7日からのご参加、7日のみのご参加など、申込時にご記入ください。
【主催】
濱屋 公紀子(はまや まきこ)
【申し込み/お問い合わせ】
makimo.1219@gmail.com(濱屋)
1)メールタイトルに「釧路円坐」とご記入ください。
2)氏名(ふりがな)
3)現在お住まいの場所
4)電話番号
5)メールアドレス
6)参加動機
7)7日の参加ご希望について。参加可否をお知らせください。
8)お車の運転ができるかどうか
(期間中は運転して下さる方がいますが、念の為お知らせいただけると助かります。)
※その他、購入される航空チケットなど、詳細についてはお問い合わせいただいた後にやりとりさせていただきます。
なお、空港までのお迎えなどは、到着時間によってご相談させていただきます。
前泊、後泊、などのご希望がある場合はご相談くださいませ。
参加するかどうか迷われている場合にも、ぜひ一度ご連絡、ご相談いただければと思います。
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今回のご案内としては以上ですが、ここからは、開催に至るまでの道のりです。
長くなりましたが、よかったら、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
以下は、幻の円坐の案内文。
今回の釧路【霧のものがたり円坐】に内包している案内文です。
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『北海道阿寒の円坐 ~戸を開かせ~』
北海道 阿寒の地にて円坐を開きます。
有無ノ一坐よりお二人を守人としてお招きします。
私が初めて未二観や影舞に出会った時に「いつか北海道で円坐をやろう」と言ってくださった橋本久仁彦さんと、私が初めて円坐に座った時に衝撃を与えてくださった松岡弘子さん。
そして、私濱屋公紀子が守人をつとめます。
2021年4月から11月まで、大阪石切で開かれた円坐守人研鑽クラス十六番稽古に通った。
どれだけ自分が、自分の中に引き込もり、他者との関わりを避けて生きていたかを思い知らされた。
他者とは、目の前にいる人間だけでなく、有象無象がひしめき合う空間そのものであり、過去も未来も現在も交錯する時間であるようだ。
稽古の中で、私が守人をつとめる円坐をした。
そして、円坐終了直後に、自分の円坐の印象を湧き上がるままに書き殴った言葉をここに記しておきます。
「可もなく不可もなく 害を与えないように 人を傷つけないように 隙間を見つけて入る
自分から隙間を作らない 自分の入りどころを虎視眈々と見てる 自分から動け 声をあげろや
わけわかんなくていいじゃねーか 声上げろや ガーでもアーでも出していけ 動きが先だ
感情が湧き出るのを待つな 探すな 相手を怒らせない答えを探すな
お前はどこだ?どこにいる? 出てこいや! 悔しい 死んで悔いるな
相手の顔を伺って自分を曲げるな ぬるい やわい 軽い うすい
興味ってなんだ? 興味ないのはなぜだ? 自分の内と外ってなんだ?
辿り着きにいけよ! 触れにいけよ! しぼむな 圧を上げていけ 熱を上げろ
身体の重さを出していけ 自重しろ 嘘つくな 笑顔を誘おうとするな ふわふわしてんじゃねぇ
こわいこわいこわい ならば行け! 死んだみたいに生きるな
個性を殺すな 個性を台無しにするな お前の番やねん 今お前の舞台なの
ゑけ ゑけ ゑけ ゑけ!!!」
この案内文を書くにあたって、再びこれらの言葉を眺めていると、幼き日の自分自身の姿が浮かんだ。
あの頃の日々が、これらの言葉が生まれた瞬間ではなかったか。
在りし日の記憶が色濃く残る阿寒の地にて円坐をひらくことにしました。
寒い冬になると、1メートルほどの厚い氷に覆われ、真っ白になる阿寒湖。
湖上でスケートをしたりスノーモービルができる「地面」となります。
夏には遊覧船でしか行けない湖上を歩いていると、聖域に踏み込んだような気持ちになる。
たしかに湖のしずけさをたたえたままそこにある。
まるで時間が止まったように。
特に冬の阿寒湖に来ると、幼き日々の記憶がありありと蘇ってくる。
宿の布団で盛大におねしょをして飛び起きた朝方、父がこっそりとぬれた布団を丸めて押し入れの奥に押し込み隠した。
パンツを替えさせ、新しいゆかたに着替えさせ、自分が寝ていた布団に寝かせてくれた。仕事のために立ち去る父を見送りながら、秘密になった安心感と、何事もなかったかのように葬られたことへ、罪悪感が芽生えた。
あれから40年過ぎた今も、生々しく思い出す。
その濡れた布団を押し入れから引っ張り出し、声をあげよう。
自分の尻拭いは自分でし、堂々と隠れずに生きろよ!と。
日程:2022年2月11~12日
場所:阿寒湖温泉 ホテル阿寒湖荘
守人:有無ノ一坐 橋本久仁彦・松岡弘子、濱屋公紀子
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こんな案内文が、今回の釧路円坐の始まりでした。
それからあっという間の1年です。
まだまだ先、と思いながら、車も運転できない私が北海道の地へお二人を呼ぶなんて、どうしようか、と思案していました。
予定していた2月は事情につき流れ、北海道・鷹栖で仲間が円坐を開催することになりました。
もちろん即答で参加!
そこでの出会いが、この度の釧路円坐への足掛かりとなった。
私の地元のすぐ近くに暮らしている方と出会い、車の運転や泊まる場所など、協力していただけることになったのです。
主催のじュんきと一緒に、鷹栖~釧路とドサ廻りしようや~と。
一人で考えていても動かないのは当たり前。こうして人に会いに行って、動くことがあるのだ。
そうこうするうちに、鷹栖のじュんきの状況に変化があり、今回は共に開催することができなくなってしまった。
とにかく、運転してくれる仲間のもとに会いに行こう。会って場所を見て、ほっとした。
くぅさんから千葉に円坐に行くので、会いましょう、と連絡が来た。もちろん行く。
なんとか調整をつけて、成田まで行ってきた。
会場に入り、くぅさんと声を交わした瞬間「よし、大丈夫だ」と不思議とストンと思えたのだ。
それまで「あーどうしよう、案内文も書けていない、相談しなきゃいけないこともたくさんある、円坐終わったら時間もらえるだろうか」なんて考え込んでいたのに。
円坐中に、両親の話や亡くなった祖父の話をした。
その場にいた人たちが、釧路の空気、両親や祖父に出会った。もうそれで、なんのためにやるのか、と会わずに一人で悩んでしまっていたのに、行くべき導きが得られたかのようだった。
一緒に訪ねてみたいお店がある。他に思いつくココ!という場所はあまりないけれど、ついに釧路円坐は動き出しました。
動き出すと、さまざまなご縁も同時にぐぐぐっと動き出していて、じっとしていた存在の姿がぐぐっと立ち現れて語り始めているようです。
そんなわけで、北海道は釧路の円坐。始まります。
10月ともなると釧路はもう寒いのですが、冬の気配を湛えた秋の釧路が私はとても好きです。釧路湿原の夕焼けをきっとみなさまと見にいけたらこんなに嬉しいことはありません。