第二回 相聞放談円坐

四万十での1週間の出稽古から戻りました。
町役場で開催した「四万十人の心と円坐」には、
橋本仁美の声掛けで、町議会の議員も来てくださって、
真剣で充実した円坐になりました。
車で3時間半もかけて来てくださった方もありました。

5月に実施した第1回四万十出稽古で円坐と影舞を経験された方が、ぜひにとご友人を誘ってくださったのでした。

大阪に帰る日には、お世話になった地元の方が、いつもの畑仕事の服装ではなく、開襟シャツと帽子でおしゃれをして見送りに来てくださいました。

「もんてきいよ」(もどっておいで)
と言ってくださるのは、外から四万十に来た方々ではなく、
この土地で生まれて死んでいく地元の方々です。

人々が会いに来てくださるということ。
人々と絆が結ばれていくということ。

地域に人と人との関わりあいの波が広がっていくということ。
絆を感じる人々が増えていくにつれて四万十という土地が
我々にとっての懐かしい「ふるさと」になっていきます。

1週間という過去の出稽古より長期間に渡る滞在によって
我々の仕事が何であるのかが見えてきました。

地域全体を円坐そのものとしてとらえるこの仕事を
「ふるさと円坐」
と名付けたいと思います。

「もんてきいよ」
それは個人的な出身地である「故郷」に戻ることではなく
懐かしい「未知のふるさと」に戻ることです。

その土地に敬意を表し、土地の人々の言葉を辿り、誠実に仕合うことによって、人と人との絆が生まれます。
こうしてそこに居合わせた全員にとってのふるさとが
新しくこの世にあらわれます。
それが「ふるさと円坐」の働きです。

今回の相聞放談円坐では、
四万十ふるさと円坐の成り立ちを見つめて考察を深めます。

有無ノ一坐 橋本久仁彦

第二回 相聞放談円坐のご案内です。

最近有無ノ一坐は、
各地に名残りの出稽古に出ています。

ご縁ある方に呼ばれたり、
最近は、呼ばれなくても、
行ってみたら、
あとからこのために来たのかと、
明らかになる事が多々あります。

行く前から、やる意義とか、
メニューをあらかじめ決めて行くと、
起こるべくして起こる様々な事実は、
見事に失われてしまって、
予定調和しかありません。
不思議です。

起こる事は、
最初から決まっていて、
だから各地へ出稽古に出かけて行きます。

その時その時同行した一坐のメンバーは、
いつしかその土地の景色とひとつになり、
忘れがたき懐かしの面影になっています。
そのため、敬意はぜったい欠かせません。

それは、内面が、外に出るというよりも、
内から外へきちっと出て行ったからこそ、
隅々までその土地に沁み渡るのであって、
その土地と切っても切り離せないような、
何かだけ都合の良いように持ち帰っても、
手に入れた途端にただ色褪せるだけです。
あの時かがやいていた精神は、
決して容易に手に入りません。

自分の中から他者や土地に、
敬意をもって、出て行くと、
何も置いて来なくても、
何も持ち帰らなくても、
他者と土地がかがやき続けます。

その悠久の地が、
ふるさとであり、
私たちの帰る場所になっていきます。

名残りの出稽古は、
物質的に消費する観光旅行ではなく、
精神という橋をかけ渡って行く旅です。

相聞放談舞台で、
名残りの出稽古と精神にふれながら語ります。
そして、きくみるはなす縁坐舞台を置き、
ご縁ある方々とじっくり坐って参ります。

平日の夜の約三時間ほどですが、
最新の景色をできる限り言葉にしてみます。

それでは、
ご縁をお待ちしております。

有無ノ一坐 松岡弘子

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・日時:令和4年8月24日水曜

・時間:18時半〜21時50分

・場所:有無ノ一坐稽古場 大阪市西区千代崎 2-20-8

・会費:四千円

・守人:橋本久仁彦 松岡弘子

・申込:enzabutai@bca.bai.ne.jp 橋本