第12期影舞山月記(鬼)
昨日、北海道上川郡鷹栖町より帰阪いたしました。
旭川空港へ向かう道は真昼なのに横殴りのブリザードでホワイトアウトとなり視界ゼロの瞬間があります。
時々横滑りする車の感覚に驚きながらも、僕は鷹栖町の森のようちえん「ぴっぱら」の湯本殉輝(じュんき)氏主催による「北の国・円坐物語」~縁に坐る暮らしの端にて~ をまっとうできた幸せに浸っていました。
どの円坐、どの出稽古もそうですが、自分が生きていることの意味、その正体、その底というものは、会うべき他者がそこで生きているその 「そこ」 へ出向かなければ永遠に分からぬものがあると思います。
今回の北の国・円坐物語に、釧路の隣の「白糠(しらぬか)町」 から車で4時間かけてきてくださった方は、僕とは初対面ですが、「関西に住んでいた10年以上前から橋本さんに会いたかった。今回この北海道で不思議にもようやく機会を得て会う事がかないました」とおっしゃいました。
じゅんきとの影舞で男泣きとなり、片手で涙と鼻水を押さえながら舞い切った彼は、「なんで涙が出るのかわかりません」と言葉にされましたが、坐衆の我々全員は、彼のこの10年間の人生の思いがけぬ変転の中に共に坐らせて頂いている実感がありました。
こうしてまた我々が残りの人生で再び会うことになる人物との 「絆」 が顕わになりました。道東の「白糠町」は、我々にとってもはや名も知らぬ町ではなくなり、かけがえのない友の住む町となって光を発します。
人と人との絆とは、わざわざ結ぶものではなく、すでに宿世の約束として大地の中に埋もれていたものが、事前に意味を求めず行脚する円坐舞台の中で、期せずして雪が解け、芽吹くものであるように思います。
円坐舞台では、生者死者を問わず人との絆が顕わになります。それが円坐舞台の正体であり、円坐舞台の舞台性そのものですから当然としても、いつも深く感動するのは、舞台を共にした我々坐衆の心の中で、絆を感じた方々の住んでいる土地が光り輝くという事実です。
我々がその存在を夢にも思わぬ人々が 「会う」 ために長い年月を待っていてくださる。そこに往くまで人生の中にまったくいなかった 「人」 と会うことによってその場所が輝き始める。
まさしく、まだ見ぬ他者は、この世の光りとしてアラハレてきます。鷹栖町の、スノーダストがキラキラ輝く雪の結晶の世界をはじめとして、我々がこの世で感じる光のすべては、あらわになったかけがえのない他者の存在であると思います。そして我々がまだ光とは感じず、自分にとって存在もしていない「見知らぬ土地」と「まだ見ぬ他者」は、我々がそこへ辿り着いたとたんに輝き始める「光源」であり「熱源」です。
そこで待っていてくださる向こう側から見たら、辿り着いた旅の者である我々の方が光源であり熱源に見える面影相聞の映し鏡となります。
己が身の 滅ぶる日まで 円坐旅 滅ばぬあなたと 指先のさき
待ち人の 面影ひとつ 北の国 鷹栖白糠 阿寒湖行くよ^^
口承即興円坐影舞有無ノ一坐 はしもとくにひこ
第12期影舞山月記(鬼)は3月8日火曜日から始まります。
全8回の「きくみるはなす縁坐影舞道中景色」です。
第12期影舞山月記(鬼)
<日程>
①3月 8日
②3月22日
③4月12日
④4月26日
⑤5月10日
⑥5月24日
⑦6月 7日
⑧6月28日
*いずれも火曜日18時30分~22時15分
(お仕事のご都合などで毎回遅れてのご参加や途中退出もOKです。)
【受講料】
全8回 3万円
単発参加一稽古4千円
【会場】
影舞山月記(鬼)稽古場
(大阪市西区千代崎2-20-8)
地下鉄鶴見緑地線「ドーム前千代崎」駅②番出口徒歩2分
阪神ドーム前駅徒歩3分・JR環状線大正駅より10分
【申し込み】
メールにて、enzabutai@bca.bai.ne.jp はしもとくにひこまで。
よろしければ受講の動機を簡単にお伝えくださいませ。