等覚院 不動尊ご巡行 遠方出立祈念 円坐舞台

今秋10/4(水)神奈川県川崎市の天台宗等覚院で
「等覚院 不動尊ご巡行 遠方出立祈念 円坐舞台」
を挙行する運びとなりましたので、ここに第一信をお届けいたします。

等覚院副住職、中島光信師よりお言葉を賜わっています。
どうぞご回覧くださいませ。

口承即興円坐影舞未二観  有無ノ一坐 橋本久仁彦

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神奈川県川崎市に門をかまえる等覚院(とうがくいん)という寺で副住職をしています、中島光信と申します。

今回は、10月4日(水)に大阪より「有無ノ一坐」の橋本久仁彦さん、松岡弘子さんをお招きし開催する「等覚院 不動尊ご巡行 遠方出立祈念 円坐舞台」のご案内を致します。

【不動尊ご巡行とは?】

開催へ至る経緯の前に、まず「不動尊ご巡行」についてご説明します。

等覚院には、毎年4月、5月に、厨子に入った本尊・不動明王像を、地域住民で持ちまわる「ご巡行」(ごじゅんぎょう)という風習があります。

世話人(受け入れ人)として不動明王を預かった住民は、お宿(会場・おもに世話人自宅)に安置し、その間近隣の人々が宿となった場所を訪ねることで、多くの方が仏縁を結ぶことができるというもの。こうした風習は一般に「出開帳」(でがいちょう)と呼ばれ、江戸時代には清凉寺(京都)の釈迦如来、善光寺(長野)の阿弥陀如来などの出開帳が人気を博したと言われています。現在の仏像の博物館展示もその一種です。

出開帳される仏像はさまざまですが、等覚院ではご本尊・不動明王像が巡行します。

1)江戸時代から現代まで、160年以上途切れず継承されている点
2)「不動」なはずが他の地域に「動く」という点

で、全国的に珍しいようですが、後継者問題等から、存続の危機に見舞われています。
等覚院<不動明王~ご巡行>

【これまでの経緯】

2021年6月、私・中島はたまたま旅先の名古屋の浄土真宗の寺で、何気なく「ご巡行」の話題を口にしました。するとその寺のご住職が思いがけず「もし他宗派で構わなければ、うちの寺へ来て下さい。」と一言。この言葉をきっかけに、事態は大きく動き出しました。

交通網の未発達であった江戸時代から近隣を旅していた不動明王。交通網の発達した現代ならば、遠方への「ご巡行」も可能なのではないか?

インターネットの普及、SNSの浸透によって、これまで限られた共同体・地域のみで共有されていた物事が、広範囲に波及されるようになりました。従来の地縁に依った「ご巡行」に囚われず、遠方の、関心のある人々に届ける等、現代に即したかたちで柔軟なアレンジが可能なのではないか?これまでお宿、世話人は新規募集をした事がなかったけれど、広く一般公募してみてはどうか?

ここに「ご巡行」の新たな挑戦が始まり、その結果、2022年3月、不動明王ははじめて箱根の関を越えて東海巡行を成功させました。

『仏様が出向いて新たな縁づくり』 大正大学地域構想研究所
著者 大正大学 地域構想研究所/社会共生学部 専任講師 髙瀨 顕功

「今こそ仏教を BSR推進センター」では、コロナ禍の中、この東海巡行が「コロナ禍での寺院の取り組み」として仏教業界誌に取り上げられたことで、共同通信の記者が取材に訪れ、それが全国の新聞に掲載。その記事に反響があり、高知、大阪、福井などから巡行の依頼が舞い込むなど、遠方巡行の可能性が拓けてきました。

「神木山等覚院 「お不動さん」東海巡業 副住職が2日間交流」宮前区タウンニュース
毎年春に地域住民で持ち回り祈る風習が残る、神木山等覚院の本尊・不動明王像。その風習を広く知ってもらおうと、中島光信副住職=www.townnews.co.jp

【今回の開催にあたって】

本格的に遠方への旅が始まる前に、本拠地である等覚院にて、出立の儀を執り行いたい。それが今回の「等覚院 不動尊ご巡行 遠方出立祈念 円坐舞台」です。

遠方出立祈念の儀?それって何?
儀式?法事??
円坐舞台、って???

先に、私は「2021年6月、私はたまたま旅先の名古屋の浄土真宗の寺で、何気なくご巡行の話題を口にした」と書きました。それが大きなキッカケになったことも。

そのキッカケとなったのが、今回、大阪からお招きする橋本久仁彦さん、松岡弘子さんなのです。松岡さんがあの日、名古屋の寺にいる、ということを知り、松岡さんに会いに訪ねた私は、そこで同じく大阪から来ていた旧知の橋本さんとも再会。そこで「ご巡行」の話題を口にしました。いってみれば松岡さんと橋本さんは、「不動尊ご巡行 遠方出立」の立役者なのです。

【何をするの?】

「円坐舞台」とは、お二人が追求されていらっしゃる口承芸術とでもいうものです。説明が難しいのですが、お二人自身の言葉をこちらで読むことができます。

◆橋本久仁彦さん
橋本 久仁彦 | 有無ノ一坐

円坐舞台の体験とは悲劇と幸福の両方であること。今月より「円ノ坐芸入門」を月二回開催します。
「入門」とは....https://umunoichiza.link/1667/

◇松岡弘子
松岡弘子 | 有無ノ一坐
冤罪と満場一致のパラドックス思考はその人個人のものなのだろうか?思考するのはいったい誰なのだろうか?「わたし」は人やものや....https://umunoichiza.link/hirokomatsuoka/

【有無ノ一坐松岡弘子挨拶】

有無ノ一坐の副坐長の松岡弘子と申します。先日、神奈川県川崎市にあります等覚院の副住職、エレックこと中島光信さんより、大阪市内にある有無ノ一坐の拠点へ会いに来てくださった折「不動尊ご巡幸 遠方出立祈念」として円坐舞台をお願いします、との言葉をいただき、等覚院の歴史や出開帳のことも詳しく聴かせていただいて、このたび、秋の等覚院へ一坐参ることになりました。

わたしは等覚院へは二度、縁坐舞台で行かせていただいた事があります。素晴らしい本堂やお庭だけではなく、影舞を置かせていただいた廊下の片隅や、庭の植え込みの陰などいろんな場所とシーンが、いきいきとよみがえってきます。

そのとき舞台で影舞を舞ってくださった方たちが、いまもそこに背景となって、存在しているからこそなのかもしれませんが、わたしはそのとき舞われていた方々の影舞を見ていたはずなのに、ひっくり返って周囲の音や背景がとても色濃く残っていて不思議です。

そして、エレックには、高槻の「南風楽天」での影舞稽古「まわんか」にもご一緒いただいたことがあります。ある音源の影舞舞台を通じそのとき人として語っておられた、人間エレックの言葉もはっきりと心に残っています。

円坐はご縁で集まった方々と、ご縁ある土地や、特別な場所など唯一無二の機会に定まった時間、円になって坐り、ご一緒する現場です。決まった目的や難しいルールもありません。どなたでも坐っていただくことが出来ます。

地元の保育園では、五歳児の子どもたちとも円になって坐ります。一年間きくみるはなす縁坐舞台の通年クラスもしています。

ただ人として円になって坐ると、様々なシーンや人の面影がなぜか思い出されたり、思ってもいなかった言葉がふと出てきたり、やがて、誰かとのやりとりが始まります。

すると風が吹いたり、光が射し込んできたり、鳥の鳴き声や車の音が入ってきたり、蝶が飛んできたり、人の声が遠くから聞こえてきたり、

絶妙なタイミングで、様々な事が起き始め、動き始めるのを頻繁に目の当たりにします。

日常、人はそれぞれ違った価値観の別々の世界にいますが、ひとたび円坐に坐ると、その世界が接触し交わり重なり込んできて、同じ音や光を聞き、見て、話す瞬間があります。

その瞬間を、言葉でなんと表現すればよいのかいい言葉がみつかりませんが、そのとき円坐舞台で、聞き、見て、話した「事実」は、決して消えたり、自分の手で変えるなど、現場を消してしまうことはできません。それが円坐舞台であり、現場と呼ぶ所以です。

それでは、このたびのご縁お待ちしております。

有無ノ一坐 松岡弘子


「等覚院 不動尊ご巡行 遠方出立祈念 円坐舞台」

【当日の流れ】
10月4日(水) 10:00~17:00

 9:30 受付開始
10:00 はじまりの挨拶
10:15 法要
10:45 講話
11:30 ディスカッション
12:00 昼食
13:00 円坐舞台
15:00 休憩
17:00 終了

【ぜひご参加ください】
申し込み方法など、具体的には近日中に公開します。橋本久仁彦さん、松岡弘子さんによるアナウンスも近々。お楽しみに、お待ちください。
(等覚院 副 中島光信 記)